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RESEARCH REPORT / 2026-11-08

見せるとこだけ(スクショの見せたい所以外を一斉に伏せる) — 調査レポート

ChatGPT と Codex が考えたオリジナル企画(11/7)と、企画係が立てた企画「見せたい吹き出しを 1 回タップすると、ほかは全部形だけの灰色になる」から仮説を立て、公式の説明・報道・研究・公的資料で検証したもの。試作 2026-11-07-h の土台です。

ひとことで: 立てた仮説 5 つのうち、当たり 2・一部当たり 2・条件つき 1 でした。今ある道具は、チャットのアプリの機能も、パソコンやスマホの自動で伏せる機能も、どれも「隠す所を見つけて塗る」形で、「見せる所だけ選んで、ほかを全部伏せる」形を主役にした道具は見つかりませんでした。いちばんの差になりそうなのは、選ばなかった所を透けない色で埋めて「元に戻せない平らな 1 枚」にすることです。2023 年には、切り取った画像から元の画像が戻る問題がスマホとパソコンの標準の道具で見つかり、モザイクも戻せる例があります。気をつける点は、吹き出しの形を元の長さのまま残すと文字数の手がかりが残ることと、映り込みで困った人の数を測った調査は見つからなかったことです。

1.仮説検証

5立てた仮説
2当たり
3一部当たり・条件つき
0外れ
仮説検証結果根拠
スクショを人に見せる・送ることはありふれていて、そこに名前・通知・ほかの会話が映り込む困りがある 一部当たり
  • 研究: スマホのスクショは「撮る・ためる・人と分け合う」ものとして研究されている。参加者 52 人が自分のスクショと撮った理由を出し、使い方を 9 つのテーマにまとめた(デンマークの大学の研究・2023 年 7 月の国際学会)
  • アプリを作る側: チャットのアプリ(LINE)の公式ガイドは、「面白くて友だちに共有したい会話」を画像にする使い方を案内し、「会話相手の情報を隠すこともできて便利です」と書いている(2024-08-28 更新)。映り込みを、アプリを作る側も困りごととして扱っている
  • 道具の数: 画面写真のメール・電話番号・顔などを伏せる機能が、パソコンの標準の道具(2023-09)・有料の画面写真の道具・スマホの数多くのアプリに並んでいる
  • 足りない所: 「スクショに見せたくない物が映って困った」人の割合を測った調査は、日本・海外とも見つからなかった(8 章)
今の道具は「隠す所を 1 つずつ探して塗る」形で、手間と隠し漏れが残る 当たり
  • チャットのアプリの「情報を隠す」: 公式ガイドの説明は「アイコン画像や表示名がダミーに切り替わります」だけ。選んだ範囲の中のほかの人の発言の文を隠すとは書かれていない。範囲は上から下へ続いた帯で選ぶ(ガイドの画面)
  • パソコンの標準の切り取りの道具: 自動で隠すのは「emails and phone numbers」だけ。ほかの文字は 1 つずつ選んで右クリックで隠す(2023-09-14 の公式ブログ)
  • 有料の画面写真の道具の自動で伏せる機能: 見つけるのは住所・カード番号・日付・メール・顔・IP アドレス・電話番号・社会保障番号・URL の 9 種類。人の名前は種類に入っていない(公式ページ)
  • スマホのアプリ: チャットのスクショ用にぼかすアプリの紹介画像も、メール一覧の差出人を 1 行ずつ棒で覆う形
  • どれも「見つけた物を隠す」ので、見つからなかった物(会話の中の名前・通知の一文など)はそのまま残る(推測)
塗り・ぼかしは戻せることがあり、「元に戻せない平らな 1 枚」にする意味がある 当たり
  • スマホの標準の編集: Google のスマホ(Pixel)の画像の書き込み機能で切り取りや塗りをした画像は、元の画像がファイルの末尾に残り、約 8 割が戻せたと報道されている(CVE-2023-21036、通称 aCropalypse。2023-03-20 の記事)。記事は「アップデート以前に編集されたスクリーンショットから情報が漏れる危険性は残っています」と書いている
  • パソコンの標準の切り取りの道具: 保存した画像を切り取って同じ場所に上書きすると、切り取った所が残る問題があった(2023-03-28 の報道。Microsoft の説明では、コピーして貼る使い方は対象外)
  • モザイク: 文字の書体と大きさが分かれば、モザイクから文字を戻す道具が公開された。研究者は「use black bars covering the whole text」(文字は黒い四角で全部覆う)と書いている(2022-02-15)
  • 行政の事例: 兵庫県は、Word に貼った図に個人情報のデータが紐づいていて、編集すると 600 人の氏名・住所・電話番号・年齢が見える状態だったと発表した(2025-12-12)。再発防止は「Word形式ではなくPDF化を徹底」
  • 記事の主張: iPhone の書き込み機能(マークアップ)の解説記事は、「マーカーによっては明暗調整などで下に書いた文字が透けて見える可能性がある」と書き、確実に塗るには図形を使うよう勧めている(2023-09-03)
ブラウザだけで、元の画像を含まない平らな PNG を作れる 条件つき
  • 公式の仕様: ブラウザの canvas(画面に絵を描く部品)は、描いた中身を画像のファイルにできる。形式を決めなければ PNG になる(MDN)
  • 書き出すのは canvas に描いた画素だけなので、元のファイルの付帯情報(撮った日時など)や重ねた層は入らない(推測。MDN にこの点の記述は無い)
  • 条件: 伏せる色は完全に不透明で塗ること。半透明で重ねると、画素に元の文字の明るさが残る(推測。ぼかし・モザイクが戻せるのと同じ理由)
(企画)見せる所だけを 1 タップで選び、ほかを全部伏せる逆の発想は、塗り漏れが起きにくく、3 秒で伝わる 一部当たり
  • 安全の世界の考え方: ソフトの安全の手引きは、危ない物を並べて止めるやり方を「massively flawed approach」(大きな欠陥のあるやり方)と呼び、通す物を決めるやり方は「作った人が考えなかった値をはじく」ので確かだとしている(OWASP・MDN)。伏せ方に当てはめると、選ばなかった所は最初から伏せられ、見落としが起きない(当てはめは推測)
  • なじみのある見せ方: 「選んだ所は明るく、外は沈む」見せ方は、チャットのアプリの範囲を選ぶ画面や、画面写真の道具のスポットライト(「dimming and/or blurring the rest of the image」)で既に使われている。ただしどちらも外は透けて読める(範囲を示す・目立たせる用)
  • 気をつける点: 隠した所の「幅」から中の文字の手がかりが漏れる、という研究がある(PDF の黒塗りの話・2023)。吹き出しの形を元の長さのまま残すと、だれが・何文字くらい話したかが分かる(推測)
  • 多くの人が実際に面白がるかは、公開して数を見るまで分からない

2.話題の旬(いつ・どこまで)

旬の判定: 新しいニュースで盛り上がる題材ではなく、スマホを持つ人のいつもの困りごとです。いちばん話題になったのは 2023 年 3 月の「切り取った画像から元が戻る」報道でした。今は、自動で見つけて伏せるアプリが増えている段階です(推測)。発信するなら「隠す所を探すより、見せる所を選ぶ」という逆の発想と、「ぼかし・モザイクは戻せることがある」という豆知識を組み合わせるのが伝わりやすそうです(推測)。

3.困りごとの実態

だれが・どの場面でスマホでスクショを撮って、家族・友だち・職場の人に送る人。会話の一部、予約や支払いの画面、設定の画面を「これ見て」と見せる場面です。チャットのアプリの公式ガイドも、会話を画像にして友だちに共有する使い方を案内しています。
何が映り込むか画面の上から出た通知のバナー(別の人からの短い文)、グループのほかの人の名前とアイコン、見せたい発言の前後の別の話、などです(推測で並べた例)。チャットのアプリの「情報を隠す」で変わるのはアイコンと表示名だけです。
なぜ起きるか今の道具は「隠す所を探して塗る」形です。探すのは人の目か、決まった種類(メール・電話番号など)だけを探す自動の機能なので、見落とした所は残ります。塗り方によっては、色が薄くて透けたり、ぼかしやファイルの中のデータから戻せたりします。

4.今の道具・技術

道具・技術できることできないこと・気をつけること確かめ方
ブラウザの canvas(画像を書き出す toBlob)描いた中身を PNG の画像にする。画像を外へ送らず、端末の中だけで作れる元のファイルの付帯情報が入らないことは公式に明記が無い(推測)。伏せる色は不透明にする公式(MDN)
チャットのアプリの「トークスクショ」メッセージを長押し → 範囲を選んで画像に。「情報を隠す」でアイコンと表示名をダミーにそのアプリの中の会話だけ。範囲の中の発言の文・通知は隠すと書かれていない公式ガイド(2024-08-28 更新)
パソコンの標準の切り取りの道具(版 11.2308.33.0〜)画像の中の文字を読み取り、メールと電話番号を自動で隠す。選んだ文字を隠す自動はメールと電話番号の 2 種類だけ。文字の読み取りは端末の中で行う(サポートのページの説明)公式ブログ(2023-09-14)
画像の中の文字を読む技術(OCR)本物にする時、吹き出しや行の位置を見つけて「選べる単位」に区切るのに使える(推測)読み落としがある。見つけた物を隠す使い方にすると、今の道具と同じ弱さが出る(推測)推測

5.競合と、空いている所

道具だれ向け値段できること足りない所
LINE の「トークスクショ」LINE を使う人無料(アプリの機能)範囲を選んで画像に・アイコンと表示名をダミーに・書き込みLINE の中だけ。範囲の中のほかの人の発言・通知はそのまま(ガイドに記載なし)
Windows の Snipping Tool(Quick Redact)Windows 11 の人標準メールと電話番号を自動で隠す・選んだ文字を隠すパソコン向け。名前や会話は 1 つずつ選ぶ
Snagit の Smart Redact画面写真で資料を作る人有料(値段は未確認)住所・カード番号・メール・顔など 9 種類を自動で覆う。覆い方は四角・ぼかし・モザイクから選べ、公式は不透明の四角をいちばん安全としている人の名前は種類に無い。パソコン向け
Snagit のスポットライト説明書を作る人同上選んだ所だけ明るく残し、外を暗く・ぼかす目立たせる用で、外は透けて読める
スマホの自動でぼかすアプリ(例: Blur ID)チャットのスクショを送る人無料(アプリ内課金あり)顔・アイコン・文字を自動でぼかす(アプリの説明による)見つけた物を隠す形。ぼかしは戻せる例がある。見つける正確さは未確認
スマホの標準の書き込み機能だれでも標準ペン・四角で塗る1 つずつ塗る手間。マーカーは透けることがある(iPhone の記事の主張)。2023 年には切り取った元が戻る問題もあった(Pixel)

空いている所(試作で狙う所)

6.決まり・気をつけること

決まり・注意中身試作では
確かめる 個人情報の誤送信(個人情報保護委員会)マイナンバーを含む情報の Q&A では、誤って送った先での扱いが確かめられない時は「漏えい(又は漏えいのおそれ)に該当し得ます」と書いている。一般の個人情報についての記述ではない。仕事でお客さんの名前が映ったスクショを送る場合に何に当たるかは、専門家と確かめる「送る前に伏せる」を言うだけ。法律の判断は書かない
直す 伏せ方(研究者・道具の会社)モザイク・ぼかしは戻せる例がある。研究者は黒い四角で全部覆うことを、画面写真の道具の会社は不透明の四角をいちばん安全な形としている伏せる色は不透明。ぼかし・モザイク・半透明は使わない
直す 保存の形(2023 年のスマホとパソコン・2025 年の兵庫県)見た目は隠れていても、ファイルの中に元のデータが残ることがある元の画像・重ねた層を含まない平らな PNG だけを保存する
確かめる 形と幅の手がかり(PDF の黒塗りの研究・2023)隠した所の幅から、中の文字の手がかりが漏れる吹き出しの形を残すなら、長さを数段に丸めるなど、元の文字数が分からない形にする
おすすめ 自動で見つけたように見せないパソコンの標準の道具も自動は 2 種類だけで、見つける機能は見落としがある前提自分の画像は、人が囲んだ四角の外を一色で塗るだけ。「AI が全部見つけた」とは書かない

7.試作に入れること

入れる物: 縦長のスマホのトーク画面のスクショ 1 枚(全部架空)。いちばん上に時刻と電池の帯、その下に上から出た通知のバナー(別の人からの短い文)、相手の名前とアイコン、グループのほかの人の名前、見せたい吹き出しと、その前後の別の話。吹き出しの色と形は、実在のどのチャットのアプリとも違うものにする。もう 1 つの入口として「自分のスクショを入れる」ボタン。

できる物: 選んだ吹き出し 1 つだけ色と文字が残り、ほかは名前・アイコン・通知・前後の会話まで不透明の灰色になった 1 枚。見本帳(非公開)の、チャットのアプリの範囲を選ぶ画面と、画面写真の道具のスポットライトの「選んだ所だけ明るく、外は沈む」構図を借りる。ただし外は透けない色にする(ここが今の道具との違い)。保存した 1 枚が相手のトークに届いた画面と、そこで拡大しても灰色のままの所まで見せる。

機能(3 つまで): ①見せる所を選ぶ(架空のトークは吹き出しを 1 タップ・自分の画像は四角で囲む)②選ばなかった所を 0.5 秒で一斉に伏せ、何を伏せたかを 1 行で出す(「名前 2・アイコン 3・通知 1・ほかの会話 5 を伏せました」のように)③元に戻せない平らな PNG で保存する。

入れないこと・約束: AI が名前や電話番号を見つけたようには見せない(自分の画像は四角の外を一色で塗るだけ)。ぼかし・モザイク・半透明を伏せ方に使わない。元の画像・重ねた層・元のファイルの付帯情報を保存の画像に入れない(canvas に描いた画素だけを書き出す)。外と通信しない(チャットのアプリへの送信もしない)。実在のチャットのアプリの見た目をまねない。

確かめる 吹き出しの形を元の長さのまま残すと、だれが・何文字くらい話したかが分かる。灰色の形は長さを 2〜3 段に丸めるか、左右(だれの発言か)だけ残す形にする。どこまで残すかは試作係が決め、まだわからないことに書く。

8.確かめられなかったこと

出典(確認日 2026-11-08)

  1. LINEみんなの使い方ガイド「トークスクショ機能を利用する」 (2024-08-28 更新・範囲の選び方と「情報を隠す」で変わる物)
  2. IT University of Copenhagen: Mottelson "Why Do People Take Screenshots on Their Smartphones?"(DIS '23) (2023-07・参加者 52 人・撮る・ためる・分け合う)
  3. GIGAZINE「Google Pixelのスクリーンショット編集機能に脆弱性、個人情報の漏えいにつながる危険も」 (2023-03-20・元の画像がファイルの末尾に残る・約 8 割を復元)
  4. The Record: Microsoft patches aCropalypse bug (2023-03-28・パソコンの切り取りの道具の同じ問題と条件)
  5. Bishop Fox: Never Use Text Pixelation To Redact Sensitive Information (2022-02-15・モザイクは戻せる・黒い四角で全部覆う)
  6. 兵庫県「集落営農組織アンケート結果における個人情報の漏えいについて」 (2025-12-12 記者発表・12-16 資料・貼った図のデータから 600 人分が見えた)
  7. Windows Insider Blog: New updates for Snipping Tool and Phone Link (2023-09-14・自動で隠すのはメールと電話番号)
  8. Microsoft サポート: Use Snipping Tool to capture screenshots (文字の読み取りは端末の中。検索の抜粋で確認)
  9. TechSmith: Automatically redact data in screenshots(Snagit Smart Redact) (見つける 9 種類・不透明の四角がいちばん安全)
  10. TechSmith: Spotlight Tool (Mac) (選んだ所以外を暗く・ぼかす)
  11. App Store: Blur ID - Hide Chat Screenshot (チャットのスクショの顔・文字を自動でぼかすアプリの説明・値段)
  12. @DIME「画像編集も自筆サインも1台で完結!知られざるiPhoneの「マークアップ」機能とは?」 (2023-09-03・マーカーは透けて見える可能性がある、という記事の主張)
  13. MDN: HTMLCanvasElement: toBlob() method (canvas の中身を画像に・標準は PNG)
  14. OWASP: Input Validation Cheat Sheet (危ない物を並べて止めるやり方の弱さ)
  15. MDN: Input validation (通す物を決める方が、考え漏れに強い)
  16. PETS 2023: Story Beyond the Eye: Glyph Positions Break PDF Text Redaction (隠した所の幅・位置から文字の手がかりが漏れる)
  17. 個人情報保護委員会 Q&A Q17-1 (マイナンバーを含む情報の誤送信が漏えいに該当し得る場合)

この調査から作った試作: 見せるとこだけ(見せたい吹き出しをタップすると、ほかは全部灰色の形だけになり、平らな 1 枚で保存できる)(架空のデータで触れます。ZIP は無料でダウンロードできます)